赤ちゃんの病気に使う薬の辞典について

赤ちゃんの病気に使う薬の辞典では、赤ちゃんによく処方される薬を紹介しております。種類別にどんな薬なのか、使うときの注意点、その薬を使う代表的な病気を紹介しております。 処方された薬を知る事で、大切な赤ちゃんに、より安心して薬を使用する事が出来ます。

解熱鎮痛剤

解熱鎮痛剤とは
解熱鎮痛剤には、熱中枢に働きかけて、体内で発熱物質が作られるのを抑える作用と神経末端で痛みを抑える働きがあります。解熱鎮痛剤は、発熱の根本原因を取り除く働きはありませんので、解熱作用は一時的です。高熱で寝る事が出来なく、水分補給が出来ないようであれば、解熱鎮痛剤で一時的に楽にしてあげる事もあります。ただ、赤ちゃんの機嫌がよく、水分補給が出来ているのであれば、無理に使用することはお薦めしません。


解熱鎮痛剤使用上の注意点
解熱鎮痛剤を一度使ったら、次の使用までは少なくとも6時間は間隔を開けて下さい。生後3ヶ月未満の赤ちゃんが発熱した場合は、解熱鎮痛剤を使わず、まずは小児科を受診しましょう。解熱鎮痛剤を使ってから小児科に行くと、重症感染症を見逃してしまう原因となる場合があります。

この薬を使う対象となる病気・症状
風邪などからくる高熱の解熱、鎮痛

抗菌薬

抗菌薬とは
抗菌薬とは、病気の原因となる病原微生物を殺したり、増幅を防いだり、悪さをしたりするのを鎮める働きをします。

抗菌薬使用の注意点
赤ちゃんの症状がよくなったからと言って、勝手に飲むのをやめたりしてはいけません。医師に指示された期間きちんと飲ませましょう。

この薬を使う対象となる病気・症状
尿路感染症、気管支炎、肺炎、中耳炎などの時に処方されます。百日咳などにも処方されることも。

鎮咳薬・去痰薬

鎮咳薬・去痰薬とは
鎮咳薬はせきを止める薬。せきを出す呼吸中枢に作用する中枢性鎮咳薬(麻薬性・非麻薬性があります)と、粘膜を保護する作用を持つものなどがあります。去痰薬はたんをやわらかくして、きれやすくする薬。

鎮咳薬・去痰薬使用上の注意点
たんを出すためにせきをしているときは、鎮咳薬でせきを止めると、たんが出しにくくなり、かえって症状が悪化することがあります。以前、処方された薬を勝手に判断して使うのはやめましょう。

この薬を使う代表的な病気
百日ぜき、気管支炎、肺炎、気管支ぜんそくなど

気管支拡張薬

気管支拡張薬とは
気管支拡張薬は、気管支を広げて、呼吸しやすくする薬です。気管支の炎症などによって気管支が収縮したり、気道が狭くなってときに使用します。赤ちゃんは気管支が細く、まだ十分に発達していないため、ぜんそくのように見えることもあるので、薬が必要かどうかの判断も大切です。 

気管支拡張薬使用上の注意点
気管支拡張薬は服用量に注意が必要です。B2刺激薬は心臓がドキドキして手が震える事が、キサンチン誘導体はまれにけいれんを起こすことがあります。用量や回数をしっかり守りましょう。

この薬を使う対象となる病気・症状 
気管支炎、ぜんそく様気管支炎、気管支ぜんそく

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬とは
抗ヒスタミン薬には、湿疹やじんましんに伴うかゆみを抑える作用(かゆみを伝える神経の受容体にヒスタミンがくっつくのを抑える)や鼻水止めの作用があります。内服薬のほかに、抗ヒスタミン薬入りの塗り薬もあります。

抗ヒスタミン薬使用上の注意点
抗ヒスタミン薬は中枢神経を抑制するので、飲むと眠くなることがありますが心配ありません。あまりに眠っているようなら、医師に相談して薬の量を調節してもらいましょう。風邪のひき始めに水っぽい鼻水が出るときは、薬で鼻水を止めようとしないで。この鼻水には鼻の中のウィルスや細菌を洗い流す役目があります。

この薬を使う対象となる病気・症状
風邪に伴うくしゃみや鼻水があるとき、じんましんなどの皮膚のかゆみがあるときなど


消炎酵素薬

消炎酵素薬とは
体に炎症が起こったときにできた物質を分解して取り除き、炎症を鎮める作用があるといわれています。のどの痛みや腫れを鎮めるときに使います。

消炎酵素薬使用上の注意点
塩化リゾチームは鶏の卵白を原料としているので、卵アレルギーがある場合や、卵アレルギーに限らず、アレルギー体質の場合や家族にアレルギー体質の人がいる場合は必ず医師に伝えてく下さい。アレルギー体質の場合を除けば、副作用は少なく、比較的安全な薬といえます。ただ、作用が弱く、確実な効果があるかどうかわからない部分もあります。

この薬を使う対象となる病気・症状
気管支炎や副鼻腔炎など

抗ウイルス薬

抗ウイルス薬とは
病気の原因となるウイルスに直接働きかけてウイルスが増えないようにします。

抗ウイルス薬使用上の注意点
発症後には早めに服用し始めましょう。「タミフル」は1歳未満への投与は安全性などが不明なため、医師が使用を考えて両親に説明し、納得してもらったうえで使用します。

この薬を使う対象となる病気・症状
アシクロビルは水ぼうそう、「タミフル」はインフルエンザウイルス感染症。

熱性けいれん予防薬

熱性けいれん予防薬とは
けいれんの発作を起こしにくくします。熱性けいれんの予防策投与を指示されたときには、体温は37.5~38度を目安にします。その後も38度以上の熱が続くときは、8時間後に2個目を入れます。

熱性けいれん予防策使用上の注意点
眠けやふらつきが出ることがあるので注意が必要です。

この薬を使う対象となる病気・症状
熱性けいれんなど

抗アレルギー薬

抗アレルギー薬とは
アレルギー反応を出しにくくしたり抑えたりします。かゆみやせき、ゼーゼーという呼吸困難などのアレルギー反応が出ると赤ちゃんは体力を消耗します。こうしたことを防ぐため、抗アレルギー薬を飲み続けることで、アレルギー反応を出にくくします。

抗アレルギー薬使用上の注意点
ほとんどの抗アレルギー薬は、すぐに効果が表れるものではなく、場合によっては、数週間、数カ月と長い期間使い続ける必要があります。服用期間は医師の指示に従い、その間は毎日欠かさず使い続けるようにしましょう。

この薬を使う対象となる病気・症状
食物アレルギー、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎など

下痢止め

下痢止めとは
整腸薬や腸の粘膜を保護する薬などの種類があります。整腸薬はもともと腸に存在している、体に必要な菌を健康な状態に戻すために使います。

下痢止め使用上の注意点
細菌性の食中毒の下痢の場合は原因菌を体外に出す必要があるため、止めてはいけません。下痢をしていても元気そうなら無理にとめなくても大丈夫です。

この薬を使う対象となる病気・症状
細菌性胃腸炎、乳児下痢症など

吐き気止め

吐き気止めとは
赤ちゃんが繰り返し吐き続けると、脱水症状が起こり体力を消耗してしまいます。予防するため、脳の嘔吐中枢に働きかけて、吐き気をとめます。

吐き気止め使用上の注意点
嘔吐の原因を確認し、吐いた後元気ならば吐き気止めは必要ありません。口から飲む事が困難なときは坐薬が使われることもあります。吐き気が続くようなら受診をし、副作用で筋硬直などの症状が出ることがあるので、量には注意してください。この場合は至急受診を。

この薬を使う対象となる病気・症状
乳児下痢症、上気道炎など

鉄剤

鉄剤とは
生後6カ月までは胎児でママからもらった鉄分があるので、貧血にはなりにくいですが、離乳食から取る鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血になる事が。症状がひどい場合は鉄剤を服用しなければなりません。

この薬を使う対象となる病気・症状
鉄欠乏症貧血

乳糖分解酵素

乳糖分解酵素とは
おっぱいやミルクに含まれる乳糖を分解し、体内に吸収しやすくする作用があります。赤ちゃんに乳糖が不足すると、消化不良を起こして下痢を起こしやすくなります。

乳糖分解酵素使用上の注意点
乳糖分解酵素とは、おっぱいやミルクを飲む時に一緒に飲ませなければ効果がありません。おっぱいの場合は薬をお湯に溶かして、先に飲ませてからおっぱいを飲ませたり、授乳の途中などで飲ませたりします。ミルクの場合は、ミルクと一緒に溶かして飲ませます。先天性乳糖不耐症の時には、医師の指示により乳糖を含まないミルクを飲ませるなどします。

この薬を使う対象となる病気・症状
乳糖不耐症

ステロイド薬入り塗り薬

ステロイド薬入り塗り薬とは
副腎皮質ホルモンを成分とし、皮膚の炎症を抑える作用が強い薬で、湿疹や皮膚炎などの皮膚の病気によく使われています。赤ちゃんは皮膚が薄くて敏感な為、、日頃のスキンケアが大切です。皮膚トラブルが起これば症状に合わせて、薬を使います。ステロイド薬入り塗り薬は、5段階に分けられ、赤ちゃんにはウイーク、ミディアム、ストロングまでがよく使われます。塗る部位によっても使い分けられます。

ステロイド薬入り塗り薬使用上の注意点
この薬を使うときは、十分な注意が必要です。薄く、均等に塗ることがポイントで、とくに顔に塗るときは、厚く塗らないようにしましょう。必ず医師の指示に従ってください。余った薬を自己判断で使うのも禁物です。 まれに塗った部分の皮膚が薄くなったり、血管が浮き上がったりニキビのような発疹が出る事があるので注意しましょう。

この薬を使う対象となる病気・症状 
乳児湿疹、乳児脂漏性湿疹、接触性皮膚炎、おむつかぶれ、あせも、虫刺され、アトピー性皮膚炎など

非ステロイド系抗炎症薬入り塗り薬

非ステロイド系抗炎症薬入り塗り薬とは
ステロイドが入っておらず、抗炎症作用はごく弱い薬です。比較的軽めで塗る部位が広い皮膚炎などに処方されることもあります。

非ステロイド系抗炎症薬入り塗り薬使用上の注意点
効き目は穏やかですが、人によっては接触性皮膚炎を起こす事があるため注意が必要です。薬を塗るときは、患部の汗や汚れをとった清潔な状態のときにママの手も石けんできれいに洗ってから塗ります。余った薬を取っておいて、自己診断で流用するのはやめて。使う前は医師に確認をしてください。

この薬を使う対象となる病気・症状
乳児湿疹、おむつかぶれ、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎など

抗真菌薬入り塗り薬

抗真菌薬入り塗り薬とは
皮膚カンジダ症による皮膚炎は、カビの一種である真菌の感染によって起こります。真菌を直接殺したり、増殖を抑えてこれらの炎症を治す薬が、抗真菌薬入り塗り薬です。

抗真菌薬入り塗り薬使用上の注意
赤ちゃんの場合、適切なホームケアをしても、湿疹やおむつかぶれがなかなか改善しない時は、真菌が原因の皮膚カンジダ症の可能性があります。真菌性の皮膚炎のときにステロイド薬入り塗り薬を使うと、症状が悪化してしまう恐れがあります。おむつかぶれと皮膚カンジダ症の区別は難しいので、おむつかぶれが長引く時は必ず受診しましょう。反対に、普通の発疹に抗真菌薬入り塗り薬を使うと、刺激が強すぎて症状が悪化することがあります。必ず医師の指示に従って、使用しましょう。

この薬を使う対象となる病気・症状
皮膚カンジダ症 

抗ウイルス薬・抗菌薬入り塗り薬

抗ウイルス薬・抗菌薬入り塗り薬とは
抗ウイルス薬と抗菌薬入り塗り薬とでは効果が違います。抗ウイルス薬入り塗り薬は、ウイルスの増殖を止める働きがあります。本来は、単純疱疹や帯状疱疹のときに処方されますが、水ぼうそうがひどいときに使用されることもあるようです。抗菌薬入り塗り薬は、内服薬の抗菌薬と同様に細菌をやっつける働きがあります。湿疹をかきこわして化膿したときや、おできができたときなどに使われます。とくにブドウ球菌などが原因のとびひに効果を発揮します。広範囲に症状が出たときは、皮膚から吸収される抗菌薬では不十分なので、内服薬を併用することがあります。

抗ウイルス薬・抗菌薬入り塗り薬使用上の注意点 
抗菌薬入り塗り薬は、とくに問題となる副作用はありません。ただし、耐性に気をつけて慎重に使う必要があります。

この薬を使う対象となる病気・症状
抗ウイルス薬入り塗り薬は単純疱疹や帯状疱疹抗菌薬入り塗り薬はとびひのほか、亀頭包皮炎、水いぼ、虫刺され、外耳道炎などで細菌感染を伴っている時によく処方されます。

皮膚保護薬・保湿薬など

皮膚保護薬・保湿薬とは
炎症を起こしているとバリア機能が損なわれてしまいます。皮膚のバリア機能が弱っているときに皮膚保護薬を塗ることで皮膚を守ります。保湿薬は皮膚が乾燥しすぎるのを防ぎ、皮膚を保護します。

皮膚保護薬・保湿薬使用上の注意点 
患部とママの手は清潔にして、他の塗り薬と同様に薄くのばして塗りましょう。医師の指示を守って使いましょう。

この薬を使う対象となる病気・症状
湿疹、アトピー性皮膚炎など

点眼薬・眼軟膏

点眼薬・眼軟膏とは
細菌やアレルギーなど原因によって使い分けます。抗菌薬入りの点眼薬・眼軟膏は、黄色い目やにが出たり、細菌に感染している可能性があるときに処方されます。抗アレルギー薬入りの点眼薬は、アレルギーが原因の充血や目のかゆみが見られるときに有効です。ステロイド薬入りが処方されるのはまれですが、専門医の診断で炎症がひどいときに使われることもあります。

点眼薬・眼軟膏使用上の注意点
容器の先が眼球やまぶたにつかないように気をつけてさしましょう。同時に2種類の点眼薬を処方された場合は、5分以上の間隔をあけて。開封したものは、次回のために保管して使うのはやめましょう。また、市販の大人用の目薬は作用が強いので、赤ちゃんには使わないで下さい。

この薬を使う対象となる病気・症状
抗菌薬入りの点眼薬・眼軟膏は結膜炎など。抗アレルギー薬入り点眼薬・眼軟膏はアレルギー性結膜炎など。

口内用の薬

口内用の薬とは
口の中の疾患に使用され、口から直接体に吸収させるため、安全性の高い薬。

口内用の薬使用上の注意点
 医師の指示通り決められた回数を塗りましょう。

この薬を使う対象となる病気・症状
口内炎、鵞口瘡など

点耳薬

点耳薬とは 
点耳薬は耳だれが出たときに使われることもあります。耳あかをやわらかくするには耳垢水も使われます。また、使用するとき容器が冷たい場合は、温めてからにしましょう。